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I. 中古ニコンDシリーズの再評価:なぜ今、レガシー機材なのか
デジタルカメラ市場は、近年急速にミラーレスシステムへの移行が進んでいます。しかし、ニコンの高性能デジタル一眼レフカメラ(DSLR)、特にプロフェッショナル向けに設計されたDシリーズのレガシーモデルは、中古市場において単なる過去の遺産としてではなく、依然として顕著な価値を維持しています。本報告書は、この中古Dシリーズを技術仕様、機械的信頼性、および現在の市場価値の三つの視点から徹底的に分析し、初心者から熱心なマニアまで、すべての写真愛好家が最適な一台を選択するための専門的な指針を提供します 。
A. 中古DSLR市場の現状とニコンDシリーズの立ち位置
現在、多くのメーカーが高速な電子シャッターや高度なAI駆動型AFを搭載したミラーレス機を市場に投入していますが、ニコンDシリーズの特定のモデルは、その設計思想に基づいた強固な優位性を持っています。それは、コストパフォーマンスと機械的な耐久性です。特に、マグネシウム合金製のボディや高耐久シャッターユニットを持つプロフェッショナルモデルは、新品のミドルクラスミラーレス機と比較しても、圧倒的な信頼性と堅牢性を提供します。
本報告書で採用する評価軸は、単に「画素数が多い」「連写が速い」といったスペックの数値的な新しさだけではありません。重視されるのは、長年の使用に耐えうる耐久性、厳しい撮影環境下でも確実な操作を可能にする操作性、そして物理的なセンサーサイズ(FX/DX)が描写にもたらす優位性です 1。
ニコンDシリーズの中古市場での価値は、最新技術の陳腐化速度に強く依存するわけではなく、むしろ**「道具としての信頼性と、手にしたときの物理的な官能性」**に強く依存しています。例えば、D700のような特定の「名機」は、その重量感、確かなシャッターフィール、そして優れた光学ファインダーの見え方 1 によって、根強いマニア層の需要を確保しています。この道具としての完成度に対する評価が、中古価格が不相応に高止まりする「名機プレミアム」という現象を生み出している最大の要因です。
B. Dシリーズの基礎知識:FXとDX、世代間の進化
ニコンのDSLRシステムの中核を成すのは、センサーサイズの異なる二つのフォーマット、FX(フルサイズ)とDX(APS-Cサイズ)です。FXセンサーは36×23.9mmの大きさで、DXセンサーに比べて面積が大きく、これが描写、特に暗所での撮影性能に決定的な優位性をもたらします。例えば、暗所での撮影を行う際、やはりフルサイズ(FX)が有利になることが広く認識されています 1。
ニコンのモデル命名規則を理解することは、中古カメラの設計思想を把握する上で非常に重要です。
- D3xxx/D5xxx系: エントリークラス。操作簡易性と軽量化を重視。
- D7xxx系: ミドル/ハイエンドDX。準プロ仕様の堅牢性と高機能AFを搭載。
- FX 3桁(D600/D700/D800/D750など): プロフェッショナル仕様。フルサイズセンサー搭載。
- FX 1桁(D3/D4/D5など): フラッグシップ機。最高の堅牢性と速度を追求。
これらの命名規則から、モデルの世代(番号が新しいほど高機能)と設計された階層(番号が少ないほどプロ志向)を把握することで、中古品選択の初期段階でのミスマッチを防ぐことができます。
III. 初心者からステップアップ:エントリー〜ミドルクラスDX機の選び方
中古のニコンDX機は、手頃な価格でデジタル一眼レフの基本を学び、写真の質を高めたい初心者や中級者にとって理想的な選択肢です。しかし、世代やクラスによって機能に大きな差があるため、購入時には使用目的と将来的なレンズ資産の活用計画に基づいて慎重に選定する必要があります。
A. エントリークラスDX機の選択肢:D3xxx系とD5xxx系
エントリークラスのDX機は、軽量で操作の簡易性を重視しており、カメラの基本操作や露出の仕組みを覚えるには最適なプラットフォームです。
- D3xxx系 (D3400/D3500): この系統は、現行機に最も近く、画素数も24MPと現代の基準を満たしています。しかし、ボディ内にAFモーターを搭載していないため、オートフォーカス対応レンズはAF-SやAF-PといったCPU内蔵レンズに限定されます。安価で良質な旧型AF-Dレンズ資産を中古市場で活用できないという制約があります。
- D5xxx系 (D5300/D5600): D3xxx系より高機能で、39点といったより高機能なAFシステムを持ちます。特にバリアングル液晶モニタを搭載しているため、ローアングル撮影や動画撮影において柔軟な撮影スタイルに対応します。ただし、D3xxx系と同様にボディ内AFモーターは非搭載です。
B. ミドル/ハイエンドDX機 (D7xxx系) の実用性
D7xxx系は、エントリークラスとは一線を画す準プロ仕様の設計が特徴です。代表的なモデルにはD7100やD7200があります。
- 特徴: マグネシウム合金を使用し、防塵防滴構造を備えた堅牢なボディ、51点測距など高性能なAFシステム、そしてプロ機材の大きなアドバンテージであるボディ内AFモーターの搭載が挙げられます。
- 市場価値: ボディ内AFモーターの有無は、中古購入者が最も見落としがちな要素ですが、レンズ選択肢の広さを決定づける極めて重要なポイントです。D7xxx系はモーターを搭載しているため、中古市場に多数存在する安価で光学性能に優れたAF-Dレンズをオートフォーカスで使用可能です。したがって、DXレンズ資産を保有しているユーザー、または予算を抑えつつ豊富なFマウントレンズを活用したい中級者にとって、D7xxx系は現代のミラーレス機に移行する前の「最終的な完成形DX機」として非常に高い実用性を持ちます。
中古DX機 カテゴリ別機能比較
IV. マニア垂涎の「名機」分析:高性能・高耐久性モデルの魅力
ニコンのレガシーDSLRの中でも、D300sとD700は、単なるスペックを超えた歴史的・機械的価値を持つ「名機」として特別視されています。これらのモデルは、当時のニコンの技術の粋を集めたプロ機材であり、その堅牢性と描写特性は現代においても高い評価を受けています。
A. 高性能DX機の金字塔:D300/D300sの現在価値
D300は、DXフォーマットの旗艦機として設計されました。これは、FX機であるD3と同時期の技術を共有しています。
- プロ仕様の設計: マグネシウム合金製の堅牢なボディ、防塵防滴構造、そしてD3やD700と同じ信頼性の高いプロ仕様のAFシステム(51点)を搭載しています。
- 動体撮影性能: DXフォーマット機としての強みは、クロップ効果による望遠効果と高速連写性能です。マルチパワーバッテリーパックMB-D10を使用することで、D700と同等の高い連写速度を発揮します。
- D700との比較軸: 性能的にはD700のDX版プロトタイプのような位置づけですが、ファインダーに関しては、D700のファインダーの方が視野率95%でありながら「見やすい」という評価が存在します 1。また、動画機能はD300sのみが搭載しており、D700が動画非対応である点との大きな差別化要因となります。
B. クラシックFX機のレジェンド:Nikon D700の徹底解析
Nikon D700は、中古市場におけるレガシーDSLRの価値を象徴するモデルです。その人気の秘訣は、当時のフラッグシップ機D3から継承したコア技術、特にセンサー性能とビルドクオリティにあります 2。
D3センサーの恩恵と描写特性
D700は、36×23.9mmのFX CMOSセンサーを搭載し、有効画素数は1210万画素です 2。この画素数は現代のカメラと比較すると低いものの、処理エンジン「EXPEED」と組み合わせることで、当時最高峰であったD3の画質を事実上継承しています。
このセンサーの特筆すべき点は、その高感度性能と描写特性です。画素数が少ないということは、一つ一つのピクセルピッチが広く、より多くの光を受け止められることを意味します。これにより、暗所での撮影時にフルサイズセンサーの利点を最大限に発揮します 1。常用ISO感度はISO6400、拡張では最高ISO25,600までに対応し、当時の技術水準としては驚異的な性能でした 2。
さらに、この世代のセンサーの描写は、高感度域でのノイズが粒子状で現れる傾向があり、現代の高画素機で時折見られるベタっとしたノイズとは異なります。この粒状感は、フィルム写真のような階調の豊かさを持つと評価され、デジタル処理による過度なノイズリダクションを好まないマニア層にとって、D700を選ぶ決定的な魅力となっています。
耐久性と所有欲
D700が持つもう一つの圧倒的な魅力は、その物理的な設計です。ボディは防塵防滴構造であり、作りが非常にしっかりとしています 2。使用感が「半端じゃない」 1 と評されるように、マグネシウム合金製の重量感と堅牢性、そしてシャッターの感触は、道具としての完成度を極めています。D700のユーザーは、ファインダーの視野率が95%であっても、その見やすさ自体はD300よりも優れていると評価しています 1。
D700の設計は、D3と同じ51点測距AFシステム、動く被写体に自動追従する「3D-トラッキング」機能、レンズの倍率色収差を画像処理によって自動軽減する機能など、多機能かつプロの要求に応える技術を搭載しています 2。この「D3譲り」の血統と、厳しい環境下での使用を前提とした堅牢性は、D700が中古市場において単なる仕様以上の信頼性とブランド価値を築き、結果的に中古価格の安定化に寄与しているのです。D700は、現代のミラーレス機が提供できない**「道具の絶対的な完成度」**を追求した時代の産物であり、その歴史的価値が価格に反映されています。
プロ仕様中古機 技術仕様と現役評価 (マニア向け)
| 項目 | D300/D300s (DX) | D700 (FX) | 着目すべきポイント |
| センサーサイズ | DX (12.3MP) | FX (12.1MP) | 暗所性能と描写特性(粒状性)でD700に軍配 1 |
| 常用ISO上限 | 3200 (拡張6400) | 6400 (拡張25600) | D700はより幅広い光環境に対応 2 |
| AFシステム | Multi-CAM 3500DX (51点) | Multi-CAM 3500FX (51点) | 信頼性の高い51点AF。3D-トラッキング機能も搭載 2 |
| ファインダー | 100% (D300s) | 95% (D700) | D700は視野率こそ低いが「見やすい」と高評価 1 |
| 動画機能 | D300sのみ搭載 | 非搭載 | 動画撮影の有無が選択の鍵。 |
C. プロフェッショナル/ハイエンドモデル全機種比較
ニコンのプロフェッショナルおよびハイエンドモデルは、最高の堅牢性、高精細な画質、または最高の高速性能を追求した時代の旗艦機であり、現在も中古市場で高い評価を得ています。以下に、発売時期が古い順(Dの若い順)に並べた詳細な比較表を示します。
| モデル名 | フォーマット | 有効画素数 (MP) | 常用ISO感度 (拡張上限) | AF測距点 | 連写速度 (fps) | 動画 | 発売時期 (目安) | 中古価格帯 (円) | 特徴 |
| D3 (D3S/D3X) | FX | 12.1 / 24.5 | 25600 (D3Sは102400) | 51 | 5-9 | なし (D3Sは720p) | 2007-2009 | 50,000-150,000 | 初代FXフラッグシップ、高耐久性 |
| D300 / D300S | DX | 12.3 | 6400 | 51 | 8 | D300S: 720p | 2007/2009 | 30,000-60,000 | DXフォーマットの旧フラッグシップ、堅牢 |
| D700 | FX | 12.1 | 25600 | 51 | 8 | なし | 2008 | 30,000-45,000 | D3のセンサーを継承した名機、高感度性能 2 |
| D4 (D4S) | FX | 16.2 | 204800 (D4Sは409600) | 51 | 11 | 1080p | 2012/2014 | 80,000-180,000 | プロ向け高速連写機、高い耐久性 |
| D800 / D800E | FX | 36.3 | 25600 | 51 | 4 | 1080p | 2012 | 40,000-80,000 | 超高画素機(36MP)、風景・スタジオ撮影向け |
| D810 / D810A | FX | 36.3 | 51200 | 51 | 5 | 1080p | 2014/2015 | 70,000-120,000 | D800改良版、D810Aは天体撮影特化 |
| D5 | FX | 20.8 | 3280000 | 153 | 12 | 4K | 2016 | 150,000-250,000 | 153点AF搭載、高感度・高速性能を両立 |
| D500 | DX | 20.9 | 51200 | 153 | 10 | 4K | 2016 | 100,000-150,000 | DXフォーマットの最高峰、高速動体撮影に有利 |
| D850 | FX | 45.7 | 25600 | 153 | 7 | 4K | 2017 | 150,000-220,000 | FX最高解像度(45.7MP)、一眼レフの完成形 |
| D780 | FX | 24.5 | 51200 | 51 | 7 | 4K | 2020 | 150,000-200,000 | 最新世代ミドルレンジ、動画性能とライブビューAFを強化 |
| D6 | FX | 20.8 | 3280000 | 153 | 14 | 4K | 2020 | 300,000-450,000 | 最終FXフラッグシップ、最高の連写性能と信頼性 |
V. 中古FX機の多様な選択肢:D700以降のモデルとの比較
D700以降のニコンFX機は、高画素化と多機能化という現代的なトレンドに沿って進化を遂げました。これらのモデルは、D700とは異なる価値基準で評価されます。
A. 高画素化の波(D800/D810系)
D800およびD810は、有効画素数が36MPを超える超高画素を実現したモデルです。この高画素化は、解像度においてD700を圧倒し、風景写真やスタジオ撮影など、緻密なディテールが要求される分野でプロフェッショナルな地位を確立しました。これらのモデルは、D700から継承したプロフェッショナルな操作性と堅牢なマグネシウム合金ボディを維持しています。
しかし、中古で購入する際に注意すべき点があります。高画素センサーは、極めて厳密なレンズ性能と撮影時の微細なブレの抑制を要求します。中古品の場合、シャッターの摩耗や、センサーへの微細なゴミの付着が、高画素ゆえに画質に与える影響が大きくなります。また、高画素化の代償として、連写速度がD700の高速連写(MB-D10使用時8コマ/秒)よりも遅くなる傾向があり、動体撮影にはD700やD750が適している場合もあります。
B. 新世代FX機(D600/D750系):実用性の向上
D700の後継機として、ニコンはFXフォーマットのラインナップを多様化させました。特にD750は、高い実用性とバランスの良さで知られています。
- D750の評価: D750は、24MPとバランスの取れた画素数を採用し、高い高感度性能(拡張ISO 51200)と広範囲のダイナミックレンジを両立しています。さらに、チルト液晶モニタの搭載や改良された動画機能、そしてD700よりも軽量なボディ設計を実現し、現代的な撮影ニーズに対応しています。
- D700 vs D750の選択: 現代的な高画質、軽量性、動画機能、そしてチルト液晶の利便性を求めるユーザーにとっては、D750系が実用性で優位に立ちます。しかし、D700の分析から明らかになったように、ニコンFX機の進化は**「堅牢性・操作性」から「高画素・高機能」へと焦点が移動しました。D750は多機能ですが、D700が持つような、マグネシウム合金を多用した「塊感」や「質実剛健さ」**は意図的に薄れさせており、物理的な耐久性を極めたD700の方が、厳しい環境下での使用を想定した中古購入者にとって、道具としての絶対的な信頼性において優位に立つと考えられます。
VI. レンズ資産の活用と総合的な推奨モデル
中古のニコンDSLRを選ぶ最大のメリットは、ニコンFマウントが持つ半世紀にわたる広大なレンズエコシステムを継承できる点にあります。この互換性を最大限に活用するためには、ボディ側の機能が決定的に重要になります。
A. Fマウントの優位性と非CPUレンズ互換性
Fマウントは、世界で最も長く使われている一眼レフマウントの一つであり、中古レンズ市場には、最新のAF-Sレンズから、1970年代に製造された非CPUレンズ(Ai, Ai-Sなど)まで、膨大な数の選択肢が存在します。
- 露出計互換性の重要性: 古いマニュアルフォーカスレンズ(非CPUレンズ)を活用したいマニアにとって、ボディ側の露出計の互換性は極めて重要です。D7xxx系以上のモデル(D700、D300、D800、D7200など)は、カスタムメニューでレンズ情報を登録することにより、非CPUレンズでも絞り優先オート(Aモード)やマニュアル露出(Mモード)において露出計が正確に機能します。
- エントリー機の制約: 一方、D3xxx系やD5xxx系といったエントリー機では、このレンズ情報登録機能がなく、非CPUレンズを使用する際は露出計が動作しません。そのため、古いレンズをコレクションし、日常的に実用したいと考えるマニア層や中級者にとって、D700やD7xxx系などの上位機種を選ぶことが、Fマウント資産を最大限に活用するための決定的な動機となります。
B. 用途別・予算別の中古Dシリーズ最適解
分析に基づき、主な推奨モデルを用途別および予算別で分類します。
| 推奨カテゴリー | 最適モデル | 選定理由 |
| クラシック描写・所有欲 | D700 | D3譲りの高感度性能 1。堅牢なマグネシウム合金ボディによる高い所有欲 1。暗所での階調の豊かさ。 |
| スポーツ・望遠重視 (DX) | D300s/D7200 | 高速AF(51点)と高い連写速度。DXクロップによる望遠効果。D300sはプロ機としての堅牢性。 |
| 風景・高解像度 | D810 | 36MP超の高画素。広大なダイナミックレンジ。緻密なディテール描写。 |
| 動画・万能性 | D750 | 24MPセンサーのバランスの良さ。チルト液晶、改良された高感度性能(ISO 51200)。 |
| 初心者向け・軽量性 | D3500/D5600 | 軽量で小型。最新世代の画素数。操作が容易。 |
VII. 全完全比較表:Nikon Dシリーズ中古品 スペック&市場価格総合比較 (最終決定表)
以下の最終比較表は、主要なニコンDシリーズ中古品について、技術仕様と同時に、市場で評価される「中古品としての魅力」、特に耐久性と所有欲を加味した総合的な指標を提供します。ニコンDシリーズの中古品選択は、常に**「価格対性能」と「価格対所有欲」**の二つの軸で評価されます。
全完全比較表:Nikon Dシリーズ中古品 スペック&市場価値総合評価
| モデル名 | フォーマット | 有効画素数 (MP) | 常用ISO感度 (上限) | AF測距点 | 連写速度 (fps) | 動画 | 液晶 | 重量 (g) | 発売時期 | 中古価格帯 (円) | 主な特徴 |
| D40/D50/D60 | DX | 6.1-10.2 | 1600 | 3-11 | 2.5-3 | なし | 2.5-3インチ | 470-495 | 2005-2008 | 5,000-10,000 | 初期普及機、軽量 |
| D3000 | DX | 10.2 | 1600 | 11 | 3 | なし | 3インチ | 485 | 2009 | 5,000-10,000 | ガイドモード搭載 |
| D3100 | DX | 14.2 | 3200 | 11 | 3 | 1080p | 3インチ | 505 | 2010 | 8,000-15,000 | フルHD動画対応 |
| D3200 | DX | 24.2 | 6400 | 11 | 4 | 1080p | 3インチ | 505 | 2012 | 10,000-18,000 | 高画素化 |
| D3300 | DX | 24.2 | 12800 | 11 | 5 | 1080p | 3インチ | 460 | 2014 | 15,000-22,000 | 軽量化・小型化 |
| D3400 | DX | 24.2 | 25600 | 11 | 5 | 1080p | 3インチ | 445 | 2016 | 18,000-28,000 | SnapBridge搭載 |
| D3500 | DX | 24.2 | 25600 | 11 | 5 | 1080p | 3インチ | 415 | 2018 | 25,000-38,000 | 最軽量、最終モデル |
| D5000 | DX | 12.3 | 3200 | 11 | 4 | 720p | 2.7インチバリアングル | 560 | 2009 | 10,000-18,000 | バリアングル液晶初搭載 |
| D5100 | DX | 16.2 | 6400 | 11 | 4 | 1080p | 3インチバリアングル | 560 | 2011 | 15,000-25,000 | バリアングル、高画素化 |
| D5200 | DX | 24.1 | 6400 | 39 | 5 | 1080p | 3インチバリアングル | 555 | 2012 | 18,000-30,000 | 39点AFへ強化 |
| D5300 | DX | 24.2 | 12800 | 39 | 5 | 1080p | 3.2インチバリアングル | 530 | 2013 | 20,000-35,000 | WiFi・GPS内蔵 |
| D5500 | DX | 24.2 | 25600 | 39 | 5 | 1080p | 3.2インチバリアングル | 470 | 2015 | 25,000-40,000 | タッチパネル搭載 |
| D5600 | DX | 24.2 | 25600 | 39 | 5 | 1080p | 3.2インチバリアングル | 465 | 2016 | 30,000-45,000 | SnapBridge搭載 |
| D70/D70s | DX | 6.1-12.3 | 1600 | 5-11 | 3 | なし | 2.5インチ | 595-665 | 2004-2006 | 5,000-10,000 | 普及機の名機 |
| D80 | DX | 10.2 | 1600 | 11 | 3 | なし | 2.5インチ | 585 | 2006 | 8,000-15,000 | 堅牢性向上 |
| D90 | DX | 12.3 | 3200 | 11 | 4.5 | 720p | 3インチ | 620 | 2008 | 10,000-18,000 | 世界初動画一眼レフ |
| D7000 | DX | 16.2 | 6400 | 39 | 6 | 1080p | 3インチ | 690 | 2010 | 15,000-25,000 | 39点AF、防滴 |
| D7100 | DX | 24.1 | 6400 | 51 | 6 | 1080p | 3.2インチ | 675 | 2013 | 25,000-35,000 | 51点AF、ローパスレス |
| D7200 | DX | 24.2 | 25600 | 51 | 6 | 1080p | 3.2インチ | 675 | 2015 | 35,000-45,000 | 高感度向上、WiFi |
| D7500 | DX | 20.9 | 51200 | 51 | 8 | 4K | 3.2インチチルト | 640 | 2017 | 60,000-85,000 | 4K対応、D500技術継承 |
| D500 | DX | 20.9 | 51200 | 153 | 10 | 4K | 3.2インチチルト/タッチ | 860 | 2016 | 100,000-150,000 | DXフラッグシップ、最高速AF |
| D700 | FX | 12.1 | 25600 | 51 | 8 | なし | 3インチ固定 | 1075 | 2008 | 30,000-45,000 | D3センサー由来、高耐久 1 |
| D600/D610 | FX | 24.3 | 25600 | 39 | 6 | 1080p | 3.2インチ固定 | 850 | 2012/2013 | 40,000-60,000 | FXエントリー、小型軽量 |
| D750 | FX | 24.3 | 51200 | 51 | 6.5 | 1080p | 3.2インチチルト | 750 | 2014 | 60,000-110,000 | チルト液晶、バランス良好 |
| D780 | FX | 24.5 | 51200 | 51 | 7 | 4K | 3.2インチチルト/タッチ | 840 | 2020 | 150,000-200,000 | 4K動画、ミラーレス技術AF |
| D800/D800E | FX | 36.3 | 25600 | 51 | 4 | 1080p | 3.2インチ固定 | 1000 | 2012 | 40,000-80,000 | 超高画素(36MP) |
| D810/D810A | FX | 36.3 | 51200 | 51 | 5 | 1080p | 3.2インチ固定 | 980 | 2014/2015 | 70,000-110,000 | D800改良版、D810Aは天体撮影特化 |
| D850 | FX | 45.7 | 25600 | 153 | 7 | 4K | 3.2インチチルト/タッチ | 1005 | 2017 | 150,000-220,000 | 最高画素・最高性能FX機 |
| Df | FX | 16.2 | 204800 | 39 | 5.5 | なし | 3.2インチ固定 | 765 | 2013 | 80,000-120,000 | クラシックデザイン、D4センサー |
| D3 (D3S/D3X) | FX | 12.1 / 24.5 | 25600 (D3Sは102400) | 51 | 9 | なし (D3Sは720p) | 2007-2009 | 50,000-150,000 | 初代FXフラッグシップ、高耐久性 | ||
| D4 (D4S) | FX | 16.2 | 409600 | 51 | 11 | 1080p | 2012/2014 | 80,000-180,000 | プロ向け高速連写機、高い耐久性 | ||
| D5 | FX | 20.8 | 3280000 | 153 | 12 | 4K | 2016 | 150,000-250,000 | 153点AF搭載、高感度・高速性能を両立 | ||
| D6 | FX | 20.8 | 3280000 | 153 | 14 | 4K | 2020 | 300,000-450,000 | 最終FXフラッグシップ、最高の連写性能と信頼性 |
VIII. 結論と推奨事項
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ニコンDシリーズの中古品市場は、デジタルカメラの進化の歴史を体現するモデル群で構成されています。中古機の選択は、単に予算を抑える手段ではなく、特定の時代に追求された機械的な完成度や、独特な描写特性を手に入れるための戦略的な選択となります。
最も重要な選定基準は、将来的なレンズ資産の活用計画です。中古市場には安価で高品質なAF-Dレンズが多数流通していますが、これらのレンズをオートフォーカスで使用するためには、D7xxx系またはD300/D700といった準プロ以上のモデルに搭載されているボディ内AFモーターが不可欠です。
特に、Nikon D700は、そのセンサー性能が当時のフラッグシップD3に由来し 2、防塵防滴構造やシャッターフィーリングがもたらす高い「使っている感」 1 によって、価格が高止まりする傾向にあります。しかし、その絶対的な堅牢性とクラシックな描写特性は、現代の軽量化されたカメラにはない、長く道具として愛用できる魅力を提供しています。D700の魅力は、スペック競争の外側にあり、写真撮影を純粋に楽しむマニアにとって、最高の選択肢の一つであり続けます。
最終的に、中古Dシリーズの購入は、予算、求める機能、そしてカメラに求める「道具としての魂」のバランスによって決定されるべきであり、本報告書に示した比較表と分析が、その意思決定を深く支える基盤となることを期待します。
