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「起業したいけれど、法人を設立するべき?それとも個人事業主で始めるべき?」
起業を考え始めると、多くの人が最初に迷うのがこの問題です。
結論からいうと、小さく試したいなら個人事業主、取引・採用・資金調達などを含めて事業を組織的に伸ばしたいなら法人が有力な選択肢になります。
ただし、「売上が○万円になったら法人」「法人の方が必ず節税になる」と単純に決められるものではありません。利益の金額だけでなく、社会保険、家族構成、役員報酬、取引先、事業リスク、将来の事業規模などによって最適な選択は変わります。
この記事では、法人と個人事業主の違いを「設立費用・税金・社会保険・信用・責任・資金調達・事務負担」の7項目で比較し、自分に合う起業形態を判断できるように解説します。
起業するなら法人と個人事業主、結局どっちがいい?
まず押さえておきたいのは、法人と個人事業主は「どちらが上か」ではなく、「どちらが今の事業に合っているか」で選ぶものだという点です。
例えば、自分のスキルを使ったWeb制作、ライティング、コンサルティング、ネット販売などを一人で始めるなら、個人事業主でも十分に事業をスタートできます。
反対に、複数人で会社をつくる、大企業との取引を増やす、従業員を採用する、出資を受けるといった計画があるなら、最初から法人を選ぶ合理性が高くなります。
まだ事業内容そのものを固めている段階なら、副業から起業までの基本的な進め方も先に整理しておくと、法人・個人事業主の判断がしやすくなります。
法人と個人事業主の違いを7項目で比較
法人と個人事業主では、開業方法だけでなく、その後の税金や社会保険、事務作業まで大きく異なります。
| 比較項目 | 法人 | 個人事業主 |
|---|---|---|
| 設立 | 登記などが必要 | 比較的簡単 |
| 初期費用 | 発生する | ほぼかからない |
| 税金 | 法人税など | 所得税など |
| 社会保険 | 法人事業所は原則加入対象 | 条件により異なる |
| 社会的信用 | 法人格を求められる取引で有利 | 実績や信用力が重要 |
| 責任 | 原則有限責任 | 事業主が直接責任を負う |
| 事務負担 | 比較的大きい | 比較的小さい |
1.設立費用は個人事業主の方が圧倒的に低い
初期費用を重視するなら、個人事業主が始めやすいでしょう。法人のような設立登記は必要ありません。
一方、株式会社を設立する場合には定款作成・認証や設立登記などが必要です。株式会社の設立登記にかかる登録免許税は、資本金の0.7%で、計算額が15万円未満の場合は15万円となります。また、定款認証にも手数料が発生します。
「まず売れるか試したい」という段階なら、設立コストをかけるより、個人事業主として商品・サービスの需要を確認する方法もあります。
できるだけ資金を抑えてスタートしたい場合は、100万円以内で起業するための資金の考え方も参考になります。
2.税金は「法人だから得」とは限らない
法人か個人事業主かを考えるとき、「どちらが節税になるか」は気になるところでしょう。
個人事業主の場合、事業で得た所得には所得税などがかかります。所得税は累進課税なので、課税される所得が増えるほど税率も段階的に上がります。
また、青色申告を行い一定の要件を満たす場合には、青色申告特別控除を利用できます。65万円控除を受けるには、複式簿記などの要件に加えて、e-Taxによる申告または一定の電子帳簿保存が必要です。
法人では法人税などが課されるほか、役員報酬の設定、社会保険料、法人住民税なども考慮する必要があります。
「利益が○万円を超えたら必ず法人化した方が得」とは言い切れません。税金だけでなく社会保険料や経費、家族構成などを含めて比較する必要があります。
3.法人は社会保険の負担も考えておく
法人を設立すると、税金だけでなく社会保険も重要な固定費になります。
法人事業所など一定の条件を満たす事業所は、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所になります。会社側にも保険料負担が生じるため、法人化を検討するときは事前に資金計画へ組み込んでおきましょう。
4.法人格が信用につながる取引もある
法人のメリットとして挙げられやすいのが、取引上の信用です。
ただし、「法人なら信用され、個人事業主なら信用されない」という意味ではありません。個人事業主でも実績、専門性、契約内容、財務状況などによって十分な信用を築けます。
一方で、取引先の社内ルールとして「法人とのみ契約する」と定められているケースもあります。BtoB事業を中心に展開する予定なら、営業を始める前に取引条件を確認しておくと安心です。
5.事業上の責任範囲が違う
個人事業主の場合、事業と個人が法律上分離された存在ではありません。そのため、事業で負った債務などについて事業主自身が責任を負います。
株式会社の株主は原則として出資額の範囲で責任を負う有限責任です。
ただし、法人であっても経営者個人が融資の保証人になっている場合などは、個人に責任が及ぶことがあります。「法人にすれば個人資産が必ず守られる」と考えないことが大切です。
6.資金調達の選択肢は法人の方が広げやすい
個人事業主でも、日本政策金融公庫などを通じて創業時の融資を検討できます。そのため、「融資を受けたいから必ず法人にしなければならない」というわけではありません。
ただし、株式による出資を受ける仕組みは法人ならではです。将来的に投資家から資金を集めて事業を急成長させたい場合は、株式会社を選ぶ意味が大きくなります。
7.経理・事務負担は個人事業主の方が軽い
起業した後は、本業以外の事務作業も発生します。
法人では法人税申告、役員報酬、社会保険、各種登記など、個人事業主より管理する項目が増える傾向があります。そのため、税理士や司法書士など専門家の力を借りるケースも多くなります。
一方、個人事業主は比較的シンプルに運営できます。特に一人でサービスを提供する段階では、事務負担の軽さそのものが大きなメリットになります。
個人事業主から始めるのがおすすめな人
次のような人は、まず個人事業主として起業する方法を検討しやすいでしょう。
会社員を続けながら事業を試したい場合は、副業・週末起業から始める具体的なステップも確認してみてください。
Web制作、プログラミング、オンラインサービスなどは、一人でも比較的小さく始めやすい分野です。具体的な仕事を探しているなら、IT・Webスキルを活かした起業アイデアも参考になります。
最初から法人を検討した方がいい人
反対に、次のような事業計画がある場合は、最初から法人を検討する価値があります。
「今の売上」だけで判断するのではなく、「3年後にどんな事業になっていたいか」から逆算すると、法人・個人事業主を選びやすくなります。
個人事業主から法人へ切り替える「法人成り」という選択肢もある
起業時に法人と個人事業主のどちらかを選んだからといって、その形態をずっと続けなければならないわけではありません。
最初は個人事業主として始め、事業が成長してから法人を設立する「法人成り」も一般的な選択肢です。
例えば、売上や利益が安定し、法人との取引が増えてきた、従業員を採用したい、事業リスクが大きくなったといったタイミングで法人化を改めて検討できます。
起業時点で将来の数字を正確に予測するのは難しいものです。迷っているなら「今の事業に必要な形態」を選び、成長した段階で見直す方法も現実的です。
法人か個人事業主か迷ったときの3つの判断基準
判断基準1.誰と取引するのか
個人のお客様が中心なのか、法人企業が中心なのかを考えてみましょう。法人格が契約条件になる業界なら、最初から法人を選ぶ意味があります。
判断基準2.どこまで事業を大きくしたいのか
自分一人で安定して働きたいのか、従業員を増やして会社として成長させたいのかでも選択は変わります。
判断基準3.固定費を無理なく負担できるか
法人化すると設立時だけでなく、その後も社会保険や税務・会計などのコストが生じます。売上ではなく、実際に残る利益とキャッシュフローを見ながら判断しましょう。
起業で法人・個人事業主を選ぶときのよくある質問
まとめ|「法人か個人事業主か」は今と将来の事業計画で決めよう
起業するとき、法人と個人事業主のどちらが正解かは人によって異なります。
一人で小さく始めたいなら個人事業主、取引・採用・出資などを含めて組織として成長させたいなら法人という考え方が、まず一つの目安になります。
そして、最初から完璧な答えを出す必要もありません。個人事業主で市場を確かめてから法人化する道もあります。
大切なのは「どちらが得そうか」だけではなく、誰に何を提供し、どのくらいの規模まで事業を育てたいのかを明確にして選ぶことです。
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