リーダーがチームで発揮すべきスキルとは

社会人のスキルアップ
リーダーが発揮すべきスキル

はじめに

本原稿は、社会人として初めて部下を持つ方、あるいはプロジェクトのリーダーに抜擢された方を対象として、リーダーが発揮すべきスキルについて解説しています。もちろん、それ以外で、すでにリーダーとして仕事に取り組んでいる方にもおすすめします。特に以下のような方の問題点を解消できればと考えています。

  • 部下が思うように働いてくれない
  • チーム(課や部署)の成果が表れにくい
  • 売上目標が達成できない
  • 部内で裏リーダー(足を引っ張る)がいる
  • 同じ社の他のチーム(課や部署)よりメンバーが悪い
  • ライバルに差をつけられていると感じている

では最初にリーダーの定義について考えましょう

リーダーとは

リーダーとは
リーダーは人をまとめて、同じ方向へと導くスキルが必要です。そのためには全体を把握して的確に判断する決断力が大事です。

リーダーの意味は指導者、先駆者、首領です。そして、リーダーシップとは指導者として資質、能力、力量、または、指導者の任務や地位を指します。

ビジネスの世界では、目的に対して目標を明らかにして、それを実現するために組織の人々の力を最大限に引き出し、目標達成に導く人のことです。

しかし、リーダーとは、あらゆるスキルが人より高く、チームでもっとも優れた能力を持っているとは限りません。また、リーダーシップとは先天的な資質ではなく、むしろ経験的に獲得するスキルで、誰もがリーダーとして活躍することができます。

リーダーが持つべきスキルとは

リーダーが持つべきスキルをリーダーシップの定義からまとめてみましょう。

クラウセヴィッツによるリーダーシップ

クラウセヴィッツはナポレオン以降の近代戦争を初めて体系的に研究した人物で「戦争論」の著書で世界的に知られます。そこに記されているリーダーシップとは次のようなものです。

  • 知性と情熱を兼ねる高度な精神
  • 危険を顧みず自身の行動に責任を負う勇気
  • 不確実な事態における洞察力
  • 洞察に基づく具体的な行動する決断力

出典:wiki

松下幸之助によるリーダーシップ

経営の神様と言われた松下幸助は経営やリーダーのあり方について数々の言葉を残してします。その中の一節を紹介しましょう。

人間の本質というものは変えることができない。それを変えようといろいろ努力しても無理である。というより、人間自身を苦しめることになる。だから、その本質はまずこれをあるがままにみとめなくてはならない。そして、その上でどうあるべきかということを考える。それが大切なわけである。これは人間にかぎらず、ものごとすべてについていえることであろう。

 けれども実際にはなかなかそれができない。ともすれば、好きだとかきらいだとかいった感情や、自分の利害にとらわれてものごとを都合のいいように見てしまう。そうなると、真実と離れた姿しか見られないということになる。それでは正しい判断もできないし、事をあやまる結果になってしまう。

 だから、指導者たるものは、できるかぎりとらわれを排して、ものごとをあるがままに見るようにつとめなければならない。そうしたあるがままの認識があって、はじめて適切な指導も生まれてくる」

出典:松下幸之助.com

ジョン・エリック・アデアによるリーダーシップの機能的行動

ジョン・エリック・アデアはイギリスの学者、著作家、教育者で組織におけるリーダーシップ論とリーダーシップ開発では世界的権威として認知されています。

チームリーダーが果たすべき役割

  1. 目標を明確にする : 目的に向かって、明確な目標を設定すること
  2. 計画と設計を行う :タスク達成のための選択肢と解決策を計画する
  3. ムード作り :自由闊達に意見が出せるチームの雰囲気をつくる
  4. コントロールする : そのメンバーによる最大の成果が出るように効率化する
  5. 評価する : チームや個人のパフォーマンスを評価してトレーニングする。
  6. 動機づけをする :外在的(報酬や奨励)、内在的(成長や自己実現)なモチベーションを高め、人が動くように工夫する。
  7. 組織化する :リーダーは、構造やプロセスも組織化する必要があります。変化を導くには、明確な目的と結果を出すための効果的な組織が必要だから。
  8. 模範となる : リーダーは個人に対しても、チーム全体に対しても、模範を示す必要がある。
    ※本内容は意訳です

実際の現場で必要なリーダーの能力とは

メンバーを緊張させない
メンバーを自分の手足程度にしか考えていないリーダーの組織は一時的には成果をあげるかもしれないが、長い目で見ると決して良くはない。企業の仕組みとしてリーダーの資質について今一度考えてみよう。

3タイプの異なるリーダーシップを例にあげました。これらを読むとリーダーとしての役割の違いに気づきます。

クラウセヴィッツによるリーダーシップは、明らかに勇猛果敢でグイグイとチームを引っ張るイメージを受けます。例えば競合環境が厳しく、競り合っている市場で今まさにビジネスを展開している企業です。優秀なチームを率いて次々と目標にチャレンジしている印象も受けます。

松下幸之助の言葉の場合はどうでしょう。生まれたばかりのチームであったり、メンバー各人の能力がまだ十分引き出せていなかったり、あるいは指導者の本質的にあるべき姿という印象を受けます。

ジョン・エリック・アデアはリーダーの機能として明示していることからリーダーの教科書的スキルを分析的に解説していることがわかります。

また、いくつか共通項目があります。それらは、目標やメンバーに対する洞察力そして物事を前に進める実行力、そしてメンバーの力を引き出す牽引力です。

リーダーのスキルとは、客観的に物事を捉えて判断する力をベースとして、目標達成やそれに向けて計画を立て、メンバー全体のコミュニケーションを図り課題解決に向かう。このプロセスをそれぞれのチームの状況に応じて組み立てて行くのがリーダーの役割といえます。

プロジェクト進行に必要なスキル

プロジェクト進行に必要なスキル
リーダーは先を見通し、メンバーに未来や成功を明示することが大事です。

リーダーはメンバーや組織のタイプにかかわらず物事を進めて行くスキルが求められます。それらは先ほど説明した4つのプロセスで分類できます。

  • 客観的な判断力で事象を捉えること
  • 目的に応じた目標設定と計画の立案
  • メンバー相互のコミュニケーションを図る
  • 課題を解消し最適化して活動をする

客観的な判断力で事象を捉えること

客観的な判断とはまさに松下幸之助の言葉の中に出てきています。「感情や、自分の利害にとらわれてものごとを都合のいいように見てしまう。そうなると、真実と離れた姿しか見られない。」これはメンバーだけの話ではなく、目標発見や活動そのものに対してもいえることです。

リーダーになったのに上長から言われることをそのまま伝書鳩のように部下に命令していることはありませんか?「部長の指示はこうだから従ってくれ」というように主体性をなくした態度を取っていないのでしょうか。これでは部下の信頼を得ることはできませんし、事なかれ主義といわれてリーダーシップを発揮することはできないでしょう。

大切なことは、客観的にみて、それをどのように判断するのか、自分の視点を閉ざすことなく考え抜く能力です。つまり客観的な立場から主体性を持ち判断することといえます。

客観的な視点での主体性とはどのようなことを指すのでしょうか。次の絵をご覧ください。一見昆虫の絵のように見えますが、見方によっては、世界的に有名なあるキャラクターに見えてきます。物事を俯瞰的にとらえると常識が持つ別の可能性に気づくことがあります。

だまし絵
昆虫の絵にしか見えませんか?俯瞰で物事を見ると違ったイメージが見えてきます。

ある会社での効率化推進の話

その会社は受注して製品をつくることを生業としています。受注生産で急な仕様変更やスケジュールの変更が常であり、顧客とのメールのやりとりに多大な時間を費やしていました。メールのやり取りは半ば習慣化していることがあり、多くのスタッフはそれを疑問に感じることなく日々のルーチンとして対応していたのです。

しかし、あるリーダーがこの当たり前の業務を簡略化することはできるのではないか?とメンバーに提案したのです。メールフォームの見直しややりとりの簡素化などによりメール業務を劇的に改善し、メンバーがメールのために費やしていた時間を1日あたり50分も削減したのです。

問題として気づかいないことが業務の中には往々にしてあります。そうしたことに気づく客観性、そしてそれを提案する主体性がリーダーには必要です。

目的に応じた目標設定と計画の立案

リーダーは目標を設定する
誰に何をしてもらうか、その人物は何が得意か、リーダーは把握しなければなりません。

リーダーは目標とそれを実行するための計画を立てるスキルがなければなりません。世間には、目標数字を部下に伝えて、あとは知らぬ存ぜぬという人がいるかもしれません。しかし、リーダーは少なくとも具体的な仕事を指示する必要があります。

例えば、営業職で新規獲得20件とするなら、20件獲得するための方策を提示しなければなりません。見顧客リスト作成、訪問回数、結果と評価など、それぞれの段階でアドバイスをしたり、モチベーションの維持を促したりします。

最近ではマーケティングセクションが見込み客のリードをとり、セールスセクションが実行するなど、役割が細分化されているケースがよくみられます。

製造現場でも同様に品質管理、生産管理などそれぞれの部門に応じた目標と計画の立案をします。リーダーとしてこうした素養を高めるには異業種で同じような立場にある人との交流がおすすめです。

営業と製造では全くすることは異なりますが、目標設定や実行においては、共通項目はあるはずです。そうした情報交換が仕事の幅を広げ、リーダーシップの醸成になります。

メンバー相互のコミュニケーションを図る

リーダーとしてのコミュニケーションスキルは、上司としてメンバーに接するだけでなくメンバー同士のコミュニケーションを促すスキルも必要です。いわばコミュニケーションによってメンバーの潜在的な力を引き出す、メンバーの力を合わせてできないことを実現するスキルです。

幼稚園児の奇跡の10段飛び「デキるデキる」

個人のパーソナリティを理解して最大限の力を発揮させると奇跡的な力を出す話が世間には数多くあります。幼稚園児でも奇跡が起こせます。

この動画(元はテレビ放送)をどう捉えるかは、個人の自由ですが、チームの励ましが何よりの力になっていることがわかります。なぜなら人は誰かのために努力することがもっとも力を発揮するからです。

ノミのジャンプ力の実験

ノミのジャンプ力の変化を実験した映像があります。あるビンにノミを閉じ込めます。ノミはビンを飛び越える能力があり、最初はビンのフタにバンバン当たります。しかし三日もすると跳べども跳べどもフタにすら到達しなくなります。フタを開けても飛び出すノミは一匹もいません。フタがなくても、「どうせ飛べない」という見えない圧力がかかっているせいです。

上司はときとして、部下の欠点を伝えて改善することを助言します。しかし、その助言は本当に部下にとっていいものでしょうか。

ちなみに跳べなくなったノミを回復する方法があります。それはビンを飛び越えるノミをその中に入れるのです。すると跳べなかった他のノミは感化されて再び跳べるようになります。あなたはスタッフの可能性にフタをしてしまうタイプでしょうか。それともみんなの手本となり、メンバーの力を最大限に発揮するタイプでしょうか。

上司のコミュニケーションスキルは、成果をみんなが感じる場にすること

上司が部下とコミュニケーションを図るとは、メンバーの可能性を伸ばすことであり、その成果をみんなで分かち合える環境をつくることです。

課題を解消するためにチームを最適化して活動をする

上司の役割は目標を設定し、それに至るまでのギャップを解消することです。そのためにさまざまな課題を解消していかなければなりません。課題解消に向けて、もっとも効率的に働くようにチームを最適化することがリーダーに求められます。

そのためには課題の本質を理解し、解決策をメンバーに提示しなければなりません。

従業員の課題にフォーカスせず、全体問題の視点を持つ

全体問題の視点を持つ
リーダーは全体最適の視点で物事を進める必要があります。

従業員が5人程度の小さな会社の話です。その会社は社長が新規開拓を1人で行い、新規開拓した後は、従業員がその顧客を引き受けるというスタイルでした。長年、その方法を続けていたのですが売上の向上はなりませんでした。従業員が顧客をロストするからです。

そこで社長は、新規開拓の方法を全従業員に考えてもらうことにしたのです。ノルマを課すのではありません。毎週金曜日に新規開拓アイデア発表会を行いました。新規開拓ができないのではなく、そもそも従業員には、その意識がなかったからです。課題の本質はそこにあったのです。

それから間もなく全社的に新規開拓の機運が高まり、特にノルマを課したわけでもないのにさまざまな方策により社長以外の従業員が新規顧客を開拓するようになりました。

もし、この時社長が、課題解決の視点だけで見ていたらどうなっていたでしょうか。それぞれメンバーの欠点や課題をあげて、ダメなところをなくそうとしたかもしれません。

課題の本質は時として別の見え方をします。そうしたこともリーダーは考えなければなりません。

まとめ

リーダーが発揮すべきスキルは組織によって異なりますが、目標やメンバーに対する洞察力、そして物事を前に進める実行力、そしてメンバーの力を引き出す牽引力などは共通しています。

リーダーがすべきことはプロセスごとに決まっています。「客観的な判断力で事象を捉えること」「目的に応じた目標設定と計画の立案」「メンバー相互のコミュニケーションを図る」「課題を解消し最適化して活動をする」以上の4つです。

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