組織の意識改革〜トップから変化することが大事〜

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働き方改革で経営者がすべきことは
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意識改革は行動変革のあとにやってくる

働き方改革で経営者がすべきこと
変革時代の経営者は本気で社員のことを考えなければならない

100年の一度の大変革時代と言われています。経営者やマネージャは、そんな時代にあった意識改革を進めるために社員(部下)やステークホルダーへ発信してゆかなければなりません。

そして、何より知っておかねばならないことは、意識は行動を変えなければ変化しないということです。行動が変わってはじめて意識の変化が起こります。社員の行動を変えるには、トップの発信力を強化することが不可欠です。

本記事では、大変革時代に、より競争力の高い企業にするために、経営者、幹部社員の変えるべき意識と行動について、具体的な方法をまとめてみました。

因習的な経営方針や成功体験に基づく判断だけに頼ることは、この先、危ないと感じていませんか? 次の時代に向けた意識と行動を考えてみましょう。

意識改革とは

ブラック企業
真っ暗な深夜まで長時間労働をさせるからブラックなのか?

意識改革は経営者や管理職から始める

意識改革とは、目標や目的を達成するために価値観や考え方を変えることです。

例をあげましょう。

創業経営者や昭和から平成の時代を懸命に働いて、会社のトップや幹部社員になった多くの方は「長時間労働や、休みをとることをあまりに気にしていなかった」ということはありませんか。

経営者や管理職社員は、ある意味、企業の成長エンジンですから休まず、突っ走ることは必要かもしれません。しかし、企業で働く人は、全員が成長エンジンではありません。それぞれの役割に応じた働き方をしています。

経営者者や管理職が、そもそもこうした意識(長時間労働の是認)を変えることが意識改革のスタートです。

社員、一人ひとりがそれぞれにライフスタイルを持っていることから、仕事の時間や休暇に対する考え方も社員は十人十色なのです。

「集中して働いて、しっかり休みを取る」「ITやAIを駆使して仕事の時間を減らしたい」など、メリハリを大切にする社員がいれば、効率化の推進に前向きな社員もいることでしょう。

そうした意見を加味しながら、大胆でこれまでにない改革に取り組む必要があります。それが意識改革のスタートです。

大変革時代の意識改革では、経営者や幹部社員が、これからの時代にあった新たな働き方を生み出すことが大切です。

意識改革ですべきこと

意識改革で重要なことは、目的と仕組みです。意識改革では、以下のようなことが掲げられます。

●会社のビジョン(目標)
●ビジョン達成のマイルストーン
●利益の創出や経費の削減
●働き方改革や休み方改革
●業務の効率化や生産性の向上
●社員同士の連携やチームワーク

社員の数が数十名規模や部門別の組織がある企業であっても、意識改革という需要事項を総務部や人事部、またはそれらの担当者に丸投げしている企業が少なくありません。また、働き方改革=意識改革と意味を履き違えて社労士やコンサルタント会社などの専門家に任せきりの経営者さえいます。

意識改革でもっとも重要なことは、まず、ビジョンや目標を再設定し、それらを業務の中に入れて仕組み化することです。

経営者や管理職が本来すべき仕事は、ビジョンや目標にあった仕組みや仕事の流れを作り出すことなのです。今の時代にまさかとは思いますが、経営者や管理職は部下の行動をチェックして評価するだけでいいと考えてはいませんか。それは大きな誤解です。それらは、仕事の一部でしかありません。

真に重要なことは、社員個々のパフォーマンスを高める、あるいは最大限に発揮できる仕組みを創り出すことにあるからです。

意識改革のステップ

意識改革で必要なことは活動は次のステップとなります。

  1. 目標やビジョンの策定
  2. 目標やビジョンの構成要素
  3. 目標やビジョンの構成要素を進める仕組み
  4. 行動や働き方の見直し
  5. 行動や働き方の評価方法

ある零細企業の事例

社員がわずか3名の企業の例です。いわゆるワンマン企業で、客観的にみると社員は社長のアシスタント的な位置に属しています。もともと社長がグラフィックデザイナー出身の広告制作会社ですから、社長は、社員のことをアシスタント感覚で接していながらも彼らに担当顧客を持たせていました。

社員は担当する顧客の仕事をしていましたが、売り上げは横ばいです。社長は、顧客にくらいつくと、そこでがんがん受注量を増やすタイプでしたので「なぜ、社員は受注を増やすことができないのだ。もっと前向きに仕事をしなければダメだ、私がやってきたように・・・」と常々感じていました。

もちろん、社長は折に触れて社員に叱咤激励するのですが、社員の担当する顧客の受注量は増えるどころか、減るケースも少なからずあったのです。あるとき、社長は「私が仕事の取り方、増やし方を教える。昔は先輩の背中を見て、自分で学んだものだが、今の時代はそうではないのだ」と言って、2泊3日で特別研修を行ったのです。

「さあ、これで社員との一体感も生まれたし、ノウハウも教えた。最初はうまくいかないこともあるかもしれないが、きっと結果がでるはずだ・・・」と社長は考えたのです。

しかし、社員の行動は何も変わらず、大して変化を起こすことはありませんでした。そんな調子でしたので社長は、徐々に3名の社員が足枷のように感じて「いっそのこと社員総入れ替えするか、また一人でやり直すか」と考えるまでになったのです。

社長は、そんな思惑を抱いていたある時に、何気なくマーケティングオートメーションの説明会に参加しました。それは、既存顧客をリスト化して定期的にメールを送ったり、顧客の優先順位を決めたりするものでした。いわゆる営業の業務をルーチン化するための仕組みだったのです。

社長は、社員に対して研修したり、励ましたり、時にはノウハウの伝授も行いましたが、それらを実践する仕組みを構築していなかったのです。いわば一番大事なことを社員任せにしていたことに気づいたのです。社長は、活動を仕組み化することをしていなかったことに気づき、仕事のプロセスそのものを変化させることにしました。

それは、上の2と3にあたる部分です。それを作り上げたことで社員の活動は驚くほど変わり、新たな顧客獲得に繋がったのです。

意識改革のメリットや効果

前述の広告会社の社長は、ビジョンや目標は掲げていましたが、仕組みを作っていなかったのです。では、実際に意識改革を行うとどのようなメリットや効果が得られるのか説明します。

理想とする会社像を共有できる

まず、目標やビジョンを掲げることで、いつもと同じ業務をしていていも将来どんな会社になるのか、どんな仕事をするのかがわかることで、社員のモチベーションが高くなり、同じ業務でも取り組む姿勢が変化したり、業績向上につながります。

社員自らが働き方を変化させる

目標への動機付けが明確になるので、効率化や生産性の向上を社員が考えるようになり、会社全体が活性化されます。

企業文化やフィロソフィーが変わる

働き方など、これまでと変わってくると企業文化が変化します。社長のワンマン企業からチームで達成する目的意識なども変わるので、より多くの人に理解が得やすい会社に変わることが可能になります。

社員の意識改革のNG行為とは

社員の意識改革を行う上で、慎重にならなければ、掛け声倒れになる場合があります。そうした注意点を紹介します。

NG・・・意識改革の具体的な考え方を明示する
要するに「意識をこう変えて欲しい、こんな考え方を持ってほしい」と伝えることは、NGです。社員が具体的にすべき活動を明示することは重要ですが、考え方の押し売りは、経営者に心酔している社員は別として今の時代にはありえません。

NG・・・従業員が自発的に取り組むように伝える
自発的とは聞こえはいいのですが、結局やらされている感が残ります。自発的に取り組める仕組み(予算や評価方法の具体的)を作り、それを活用する企業文化を醸成すれば、社員は自発的になります。

NG・・・意識改革がうまく浸透しない社員をサポートする
一見、社員のサポートは重要に思えるかもしれません。助言などしたくなるかもしれませんが、言葉で伝えるだけでは、逆効果になる可能性があります。そもそも意識というものは人から言われて変わるものではなく、自ら変わることが重要なのです。

意識改革で重要なコミットメントとは

意識改革で重要なコミットメントは次の通りです。

●経営者が自ら発信し、仕組みづくりを行う

経営者が人任せにせず、自ら発信者となることは最も重要な要素です。

●意識改革のゴールを定量化し、社員が理解できるものとする

社員がすべきことを定性ではなく、定量化することが必須です。

●研修だけに終わることをせずに、必ず実践する

研修で行ったことは、必ず実践できるように業務に組み込みます。

●経営計画を立てて、マイルストーンを社員と共有する

経営計画を具体的な行動までに落とし込むか、あるいは社員に行動計画を立案してもらう。

●現状認識を共有し、将来に希望を持てるようにする

現状、経営者が考えている課題や認識を社員に伝え、ビジョンを明らかにする。

さて次の項目からは、意識改革の中でももっとも重要な発信力について解説します。

経営者は、方針の背景までしっかり発信する

経営者が大きな声で方針を発表することが大事

今の変化は、一時的なものではなく、大きな時代の流れです。経営者として、新しいことを取り組むならば、しっかりとその方針や背景を伝えなければ、社内に浸透しません。

「お飾り的な方針だ」「また元に戻る」などと社員が感じていれば、社内の改革は進みません。新しい働き方を進めるには、これから会社が変化することを方針としてしっかり打ち出す必要があります。

経営者に必要な発信力とは

経営者の発信力
アドバルーンを上げられるのは経営者だけ

企業が成長するときに、経営者の発信力は、重大な意味を持ちます。社会構造など、大きな変化をともなうケースでは、経営者が直接、全社的に発信すれば、効果は絶大となります。

経営者と社員の距離が近い会社なら、ミーティングごとにその意義、会社の将来像や目標など、経営者の夢とその実現に向けたマイルストーンを交えて話せば、社員の意識は、変わってゆきます。

中小規模企業では、社内イントラネット、社内報など、さまざまな媒体を活用して隅々にまで浸透させます。新たなシステム導入や査定の改定など、社員の仕事のモチベーションに関わる重大なことは、単純な通達だけですまさないようにしましょう。

例えば、リモートワークなど、在宅労働制度を新たに会社で作成し、あとは「各自、仕事に合わせて」という見方もあるかもしれませんが、それだけでは、改革としては不十分です。

もし、これまで社員に語りかけることがなかった経営者なら、それこそ、今までと違う、これから変わるのだ! と大きな声で発信するのがよいでしょう。それが、大変革時代に大きく成長するバネになります。

また、リモートワークが当たり前になっている場合など、ワークライフ、つまり、生活と仕事がひとつになっている働き方についても考えてみましょう。社員から広く意見を募るのも方法です。

坂本龍馬が言っています「真の仕事とは、常識を打ちやぶることにある」と。経営者自身が発信力によって、新たな方向を示すことが重要なのではないでしょうか。

役員や幹部社員を納得させるためにすべきこと

経営者がすべきこと
経営者は自らメッセージを発信することが大切。

経験を積み、実績を上げている役員や幹部社員の中には、経験則を重視し、変化に懐疑的な人がいるかもかもしれません。

しかし、新しい経営を掛け声だけで終わらせないには、こうした人員こそを巻き込むようにします。その実行には、次の項目を参考にしてください。

●経営計画に会社の体制強化の一環として業務効率化、ワークスタイル変革を盛り込む

●計画の進捗に関するメッセージをトップが発信する

●数値的目標設定は、労使を交えた委員会などで設定する

●業務の見直しなどを含めて総合的な視点を持つ

●所定外労働削減・年次有給休暇の取得促進の方針など、策定した方針を社外にも発表する

社外への発信は、採用などにも好影響を与えますし、社員のモチベーションの向上にもつながります。また、役員、幹部の意識改革に向けて、休暇取得の促進を進めます。「あの部長も休暇をとるのか!」と社員に思わせるような取り組みが大切です。

おわりに

大変革時代に企業が成長するには、経営者が自らメッセージを発信し、企業にあった仕組みをつくり、数値目標として実行してゆくことです。そして大変革時代に経営者を筆頭に社員の意識を変化させることは、仕事へのモチベーションばかりか、新たな企業文化を育てることにもなります。

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