縦割り組織を見直す5つのメリット!柔軟な働き方で生産性を向上

縦割りの業務や組織を変える5つのメリット
縦割り業務や組織を変えることは企業の柔軟性を保つには必須

仕事の時間や役割を柔軟化

多くの日本企業では、長年にわたり部署ごとの専門性を高める「縦割り」の働き方が主流でした。しかし、縦割り組織が固定化すると、情報共有の停滞やセクショナリズムといった弊害が生じやすくなります。本記事では、縦割り組織や業務を見直し、柔軟な働き方を導入する5つのメリットを詳しく解説します。

例えば営業部門において、1課と2課が競い合うあまりノウハウが共有されなかったり、派閥によって適材適所の配置が阻害されたりするケースは少なくありません。激しい環境変化に対応するためには、従来の縦割り体制から脱却し、柔軟な仕組みづくりを進めることが欠かせません。

縦割りの組織とは

日本の縦割り組織とは、業務内容に基づいて厳格に部門を分割し、各部門が専門性を高める組織形態を指します。
上司と部下の階層構造が強固で、上意下達(トップダウン)の指示系統が重視される点が特徴です。
一度決定した方針の変更が難しく、終身雇用や部門ごとの固定化と結びつきやすい傾向があります。その結果、部門間のコミュニケーションが希薄になり、セクショナリズムや柔軟性の低下を招く要因となります。

縦割りの業務とは

縦割りの業務とは、組織内の役割や責任を部門ごとに細分化し、それぞれが特定の定常業務に専念する体制を指します。
営業、生産、研究開発、人事、財務などの各部門が自領域の最適化と専門知識の追求に特化します。
定型業務を正確かつ効率的に進めるうえでは有効な一方、部門間をまたぐ連携や全体最適の視点、迅速な情報共有が滞りやすいという課題を抱えています。

メリット1 部署をまたいだ交流が活性化する

縦割り体制を見直す第1のメリットは、部門の垣根を越えたコミュニケーションが生まれ、組織全体の連携力が強化される点にあります。

組織の活性化
効率的な仕事になる

繁忙期を共に乗り越え、団結力を高める

繁忙期のタイミングが異なる部署同士を連携させる体制を構築すると、社内のリソースを効率的に配分できます。

同一部署内での応援体制は多くの企業で整備されていますが、繁忙期には部署全体のキャパシティを超えてしまい機能不全に陥りがちです。そこで部署横断の相互応援体制を整えることで、特定の部署に過度な負担が偏るのを防ぎ、会社全体の連帯感を高めることができます。

人材育成や職場環境の視点から事前準備を行う

部署横断の体制をつくる際は、各部門の専門性を尊重しつつ、段階的な準備を進める必要があります。

具体的には、社員が複数の業務を担えるようにする多能工化の推進や、業務プロセスの標準化、マニュアル・フローチャートの作成といった環境整備が求められます。立ち上げには相応の時間と労力を要しますが、一度仕組みが完成すれば、所定外労働や休日出勤の大幅な削減につながります。

  • 部署ごとの特性や繁忙期のサイクルを踏まえて応援体制を設計する
  • 社員の多能工化と業務手順の標準化・マニュアル化を事前に進める

メリット2 社員の労働時間を適切に把握できる

第2のメリットは、職種や業務の実態に即した柔軟な労働時間制度を適用することで、適正な労務管理が実現できる点です。

時間管理が適切
仕事の時間が適正になり評価もしやすくなる

労働時間の不十分な把握は法律違反を招く

労働基準法において、使用者は労働者の労働時間を客観的かつ適正に把握する義務を負っています。しかし、職種や業務内容が異なる部署に対しても画一的な時間管理を適用しているケースは少なくありません。

自己申告に依存した勤怠管理では、割増賃金の未払いや見えない長時間労働といった法令違反リスクが高まります。こうしたリスクを回避するためには、職種特性に応じた事業場外みなし労働時間制度や裁量労働時間制度の適切な導入が有効です。

営業職には事業場外みなし労働時間制度を適用

外回りが多い営業職などは、事業所外での活動時間が長く、使用者の直接的な指揮監督が及びにくいため労働時間の算定が困難です。

このような職種には、労使協定を締結したうえで事業場外みなし労働時間制度を適用する方法が適しています。内勤業務がある場合はその時間を切り離して管理するなど、実態に合わせた運用体制を整えることが重要です。

  • 使用者は法令に基づき労働時間を客観的かつ適切に把握する義務がある
  • 業務実態に合わせて事業場外みなし労働時間制や裁量労働制を活用する
  • 外出の多い営業職には事業場外みなし労働時間制度の導入が効果的

メリット3 ワーク・ライフ・バランスが進む

第3のメリットは、業務負荷の平準化により社員が計画的に休暇を取得しやすくなり、ワーク・ライフ・バランスが向上する点です。

ワークライフバランス
ワークライフバランスは仕事のパフォーマンスを上げる

年次有給休暇取得が進められる

部署ごとの繁閑差が大きい環境では、特定の時期に休日出勤や長時間労働が集中し、年次有給休暇の取得が後回しになりがちです。業務負荷の波が激しすぎると、社員の疲弊や健康障害を招く要因にもなります。

組織全体で柔軟な人員配置を行えば、繁閑差による業務負担を分散できます。縦割りの枠組みを外して全社で休暇取得を調整できるようになれば、計画的な年次有給休暇の取得が無理なく進みます。

多店舗を展開する飲食チェーンなどでは、近隣店舗同士で人員を融通し合う体制が広く定着しています。一般企業においても、部署間の繁忙期を見越した人員シフトを参考に応援体制を組むことが有効な解決策になります。

メリット4 業務の進行がスムーズになる

第4のメリットは、業務の属人化を解消することで特定担当者の不在による作業停滞を防ぎ、全体の業務フローを円滑に保てる点です。

業務進行がスムーズ
管理システムにAIの導入も考えられる

属人的な管理システムは業務の進行を滞らせる原因になる

特定社員への権限集中や属人的な管理フローは、業務遅延の主な原因となります。

担当者ごとに取り扱い品目が限定されている職場や、個別のアカウント・認証コードがなければ承認が進まない環境では、本人の不在時に業務全体がストップしてしまいます。こうした状態は進行を遅らせるだけでなく、その担当者に過度な業務負荷を集中させる要因です。

担当者の代理者が管理や業務の処理を行える体制を整える

属人化を防ぐためには、チームや部門を越えて柔軟に権限を行使できる代理処理体制を構築することが重要です。

担当者が不在でも代理者が速やかに業務を承認・処理できる仕組みを整えれば、業務の滞留を防ぎ、特定個人への負担の偏りを是正できます。

短・中期的視野で専門的教育を実施する

金銭管理や機密情報の取り扱いなど、高い責任を伴う業務では、代理候補者に対して計画的な専門教育を実施する必要があります。

短期的・中期的な視点で育成スケジュールを組み、代理者としての権限や新しい役職を付与することで、対象社員のモチベーション向上にもつなげられます。

  • 属人的な管理体制は業務停滞を招き、特定社員の長時間労働を引き起こす
  • 代理者が業務を遂行できる体制と権限移譲の仕組みを整える

メリット5 管理職の生産性を向上できる

第5のメリットは、管理職の職務内容を整理してプレイングマネージャー状態を緩和し、組織全体の生産性を高められる点です。

生産性が向上

日本の管理職はプレイングマネージャー

管理職の本質的な役割は組織マネジメントですが、多くの職場ではプレイヤーとしての実務も兼任しています。

現場業務を抱えながら部下の管理も行うプレイングマネージャー状態は、長時間労働の常態化を招き、ワーク・ライフ・バランスの観点から昇進を敬遠される要因にもなっています。管理職に過剰な現場実務を背負わせ続けることの最大の弊害は、組織全体の生産性低下に直結する点にあります。

管理職(特に課長とマネージャー職)で業務の棚卸しを行うべし

管理職は本来、経営判断や組織戦略といった高付加価値業務に注力すべきポジションです。

日々の雑務に追われてマネジメントが手薄になるのを防ぐため、まずは課長職やマネージャー職の業務棚卸しを実施しましょう。日常の業務内容を洗い出して不要な作業を廃止し、部下に権限移譲できる実務を切り離すことで、管理職の本来の役割に集中できる環境をつくります。

女性の活躍がアドバンテージに

能力が高くても、長時間労働を前提とした管理職像に不安を感じて昇進を躊躇する社員は少なくありません。

課長やマネージャーの業務負荷を見直し、ワーク・ライフ・バランスを維持しながら活躍できる体制を確立すれば、女性管理職の登用をはじめとする多様な人材の活躍が進み、企業の競争力向上につながります。

上長からの課長職・マネージャーの支援も忘れずに

現場の管理職自身だけで働き方改革を完結させるのは困難です。制度設計や運用においては、上位役職者が責任を持ってバックアップする必要があります。

重要顧客との折衝に上位役職者が同席するなど実効性のあるサポートを行うとともに、管理職の人事評価項目に「部下の育成やワーク・ライフ・バランスの推進状況」を組み込むことも有効です。

  • 業務の棚卸しを行い、管理職が高付加価値業務に専念できる環境をつくる
  • 管理職と部下の職域・役割分担を明確に切り分ける
  • 上位職による支援体制を整備し、人事評価にワーク・ライフ・バランス項目を反映する

縦割り組織の見直しに関するFAQ

縦割り組織の見直しや柔軟な業務体制づくりに関して、よくある質問と回答をまとめました。

Q
縦割り組織の最も大きなデメリットは何ですか?
A
部門間の情報共有やコミュニケーションが希薄になり、セクショナリズムや柔軟性の低下が生じる点です。業務が属人化しやすく、特定部署や担当者への負担集中を招く原因にもなります。
Q
部署間の応援体制をスムーズに運用するコツは?
A
各部署の繁忙期の違いを把握したうえで、業務手順の標準化・マニュアル化を進め、社員の多能工化を図る事前準備を行うことが重要です。
Q
管理職の生産性を上げるためには何から始めるべきですか?
A
課長職やマネージャー職の日々の業務内容を棚卸しし、不要な作業の廃止や部下への権限移譲を行い、高付加価値業務に専念できる環境を整えることから始めます。

おわりに

本記事で紹介した5つのメリットのなかでも、特に重要なのが「管理職の生産性向上」です。管理職には社内でも優秀で責任感の強い人材が揃っています。雑務に追われるプレイングマネージャー状態から脱却し、本来のスキルを最大限に発揮できる環境を整えることが、企業の持続的な成長につながります。

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