部下を引っ張る!リーダーに必要な行動とスキル

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部下を引っ張る

これまでの努力が実って、上司としてプロジェクトチームを引っ張ることに。そのとき、多くの人がこれまで以上のやりがいを感じると共に、不安も抱えることでしょう。

「もしも部下が自分の言うことを聞いてくれなかったら……?」

「もしも上司を失望させてしまったら……?」

そのような、上司ならではの責任感や失敗への不安は少なくありません。部下を引っ張るとはチームを引っ張るということです。

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部下やチームを引っ張るとは?

「部下を引っ張る」「チームを引っ張る」という言葉は、チームを動かし、進めていくことを意味します。これはリーダーが、チームのビジョンや目標を明確にすること、チームメンバーのモチベーションを高めること、透明なコミュニケーションをとること、適切な判断をすること、チームの方法を支援することなどで実現することができます。リーダーは、チームをまとめて向かっていく力を持っています。

リーダーが示すべき行動とは

リーダーは以下のようなことを行うことで、チームを引っ張ることができます。

  1. ビジョンを提示する: チーム全体が向かっている方向を明確にすることが大切です。
  2. モチベーションを高める: チームメンバーのモチベーションを高めることで、パフォーマンスを向上させます。
  3. コミュニケーションをとる: オープンかつ透明なコミュニケーションを取ります。
  4. 判断力を発揮する: 状況に応じて適切な判断を下します。
  5. チームのやり方を支援する: チームの方法を支援することで、協力して仕事ができる環境を構築します。

これらの要素をすべて実践することで、リーダーはチームを引っ張り、目標に向かって向上します。

部下を導くために必要な5つのスキルとは

魅力的で信頼させる管理職や上司に必要なスキルを5つ選んで紹介します。主に部下との関係性向上に関わるものです。これから管理職や上司に就く方、現状のチーム(部下)の働きに不満を感じている方はぜひ参考にしてください。

① 【傾聴スキル】 部下の考えを理解をするスキル

管理職のメンバーの考えを理解するスキルとは
部下の考えを理解することで成績が急上昇することもある

部下の考えを理解するスキルは、チーム運営のあらゆる場面に欠かせません。部下が何を思い、何を考えて行動しているのかを把握し、それに基づいた人材管理を行うことで効果的なチーム運営が行えます。

部下の考えを理解するスキルでは、傾聴が重要になります。傾聴はアメリカの心理学者カール・ロジャーズが提唱したスキルです。

傾聴では、自分が理解できるまで話を聞いたり、相手の立場になって耳を傾けたり、個人的な感情を除外して肯定的な関心を持って聞くことを重要視します。

また、「成長や悩みの解決などの課題を解決するのはその人自身である」という相手を尊重する気持ちも大切です。

【傾聴】の具体的な実行方法

傾聴は、個々の部下の特性を理解するために行います。そのため、対話時のテーマ(話題)には次の5つが考えられます。

  1. どんな仕事をしたいと考えているのか。(近い将来)
  2. どのようなキャリアを思い描いているのか。(遠い将来)
  3. どんなスキルを習得したいと思っているのか。(経験)
  4. 得意なこと、苦手なことは何か。(強み・弱み)
  5. 育児や介護などの個人的な事情の有無。(ライフスタイル)

これら5つのテーマで考えや意見を聞き、理解することで、その部下にどんな仕事を任せるべきか、どんな役割なら前向きに取り組んでもらえるのかなど、的確な人材活用にもつながります。

■POINT

  • 部下の考えを理解するには、考えを聞き取る「傾聴スキル」が重要
  • 部下との会話テーマは「近い将来」「遠い将来」「経験」「強み・弱み」「ライフスタイル」の5つがおすすめ
  • 部下の考えを理解すると、的確な人材活用にもつながる

② 【課題発見スキル】 上長職として業務の課題を見つけるスキル

課題発見のスキルとは、言い換えれば、物事の本質を的確的にとらえることで個人や組織の活動効率を最大限に高める能力になるものです。

物事を概念化することで、その本質を正しく抽出します。本質からずれている点には、必ず課題になることが存在しています。

それを見出すことが課題解決となり目標の達成を推進します。事情が複雑に絡んだりあいまいだったりする事象や仕組みを単純化することで、自分や他者が業務に取組みやすくするスキルといえます。

ここで目指すのは、成功や失敗に至る法則を見つけることです。「こうすれば成功する」「こうしたら失敗する」という定義を発見できれば、目の前の事象をその定義に当てはめて因数分解することができます。

事象を一から紐解こうとするのではなく、成功に至るまでの法則に事象を当てはめて本質を見極めるのです。そのためには、日頃の業務において、成功または失敗の要因を分析し、幾つかのパターンとして備えておくことが重要になります。

【課題発見スキル】の具体的な実行方法

管理職は、課題発見のスキルが必要
課題は、本質的に捉えることで解決できる

おすすめしたいのが、始業前にその日の業務内容をスケジュールとして書き出し、就業後に実際の履行状況と照らし合わせる方法です。

先ほど説明した通り、課題発見スキルではまず「成功(または失敗)に至る法則」を見つけることが重要です。

そのために、一日の予定と結果で照合し、「なぜここは予定通りに済ますことができたのか」「どうしてここは予定が大幅に狂ってしまったのか」を考え、改善していくのです。この予定と結果の照合は毎日行います。

また、上司だけでなく部下一人ひとりにも取り組んでもらうと、細かいところでの意外な課題やチーム全体で共通している課題を浮き彫りにできるのでおすすめです。通勤電車内などで行えば、業務への負担もかかりません。

スケジュールの書き出しは、15分刻みでなるべく細かく行うようにしましょう。そのほうが、業務の進捗を遅らせる原因まで詳細に考えることができるからです。

■POINT

● 進行中業務の課題を見つけるには「本質的なことを理解する」のが効果的
● 成功や失敗に至る法則を見つけるために、予定と結果の照合を行う
● 予定と結果の照合はチームそれぞれで行うと小さな課題や共通の課題が見つかる

③ 【ファシリテーションスキル】部下の行動を積極的にするスキル

ファシリテーションの本来の意味は、会議などで話し合いが円滑に進むようにサポートすることです。「傾聴」や「ロジカルシンキング」、「合意形成(コンセンサスの取得)」の3つのスキルが必要と言われます。

「傾聴」は適材、つまりそのスタッフがどんな特性を備えているのかを見抜く力となり、「ロジカルシンキング」は適所、つまりプロジェクト進行にどのような力が必要なのかを構造的に理解する力となります。そして「合意形成」が、適材適所の行動を「うながす力」にあたります。

【ファシリテーションスキル】の具体的な実行方法

最も大切なのは、その業務の価値と人選理由を明確に伝えることです。

「適材適所の人材配置は上司にも部下にもありがたいことだ」と多くの人は考えます。しかし、それは先入観に過ぎません。例えば部下のAさんが資料づくりに長けているからといって、資料作成を指示しても、Aさんがハッピーになるとは限りません。

資料作成は地味な仕事だとAさんが考えていた場合は、むしろ「上司から必要とされていない」と誤解するでしょう。

また、適材適所の自覚がないまま人材配置を行うのも危険です。「なんで自分がこの仕事を?」がはっきりしないまま、ただぼんやりと「得意だから」という理由で行っていては、部下のモチベーションは上がらないからです。

与える業務や役割がプロジェクトやチームにどれほど価値があるのか。そして、その人のどんな能力に期待しているのか。そこまで明確に伝えてあげることで、部下も実力ややる気を発揮しやすくなります。

誰と協力すればよいのか」まで伝えてあげると、なおのことよしです。例えば資料作成といっても、文章や表をつくったりと、そこにはいろいろな作業があります。

そのとき、「もし表がうまくつくれなかったらBさんにお願いするといいよ」という言葉があると、Aさんは「表作成以外の作業は自信を持っていいんだな」と感じますし、「表作成が自分のウィークポイントなんだ」という気づきも得られます。つまり、部下の成長もうながせるのです。

■POINT

● 適材適所の人材配置に役立つのは「ファシリテーションスキル」
部下の特性を見抜き(適材)、プロジェクト全体の構造を把握(適所)。合意形成で行動をうながす
● 行動をうながすには、業務の価値と人選理由を明確に伝えることが必須

④ 【心理的安全性】 部下のモチベーションを維持し、高めるスキル

モチベーションを維持し、高めるスキル
部下のモチベーションを支えるのは上司の一言。苦言ばかりではいけない。

心理的安全性とは、他人の反応を恐れたり、恥ずかしいと感じることなく自然体で振る舞える環境のことです。

ハーバード大学で組織行動学を研究するエイミー・エドモンドソン氏が提唱した概念で、2015年にGoogle社が「心理的安全性は成功するチームの構築に最も重要なものである」と発表したことで注目されました。

モチベーションを維持・醸成する手法で最も単純なのはインセンティブを提示することです。ですが、経営層でない上司がインセンティブを提示・確約するのは困難ですし、本来それは経営層が行うべきで上司の仕事ではないといえるでしょう。

インセンティブに頼れないという点も、心理的安全性によるモチベーションの維持・醸成が重要になる理由です。

【心理的安全性】の具体的な実行方法

心理的安全性の構築には、上司は部下よりも優秀である、または、優秀でなければならない」という思い込みを捨てることです。上司部下と同じ目線に立たなければいけません。

例えば会議。会議は心理的安全性の高低が最も顕著に表れます。特定の部下だけが発言している会議は、心理的安全性が不十分である可能性があります。あえて管理職者や上司が発言しなかったり、遅れて参加して、状況を見極める方法もあります;。

「管理職や課長も不完全な人間である」とアピールすることで、部下それぞれが自分らしく振る舞えるようにするのです。他にも、あえて自分が抱えている悩みを部下に打ち明けて相談してみるのもよいでしょう。

部下との距離を短くすることによって、部下は親近感を感じます。場合によっては「自分が頑張ろう!」とモチベーションの維持や上昇にもつながります。

つまり、それだけ部下は、上司の言動に左右されやすいと言えるでしょう。ポジティブな言葉をかければ、奮起するでしょうし、ネガティブな言葉を発すれば、意気消沈することもあるのです。苦言ばかりでなく、少しでも進歩があれば、それを認める素直さを意識することが重要です。

■POINT

  • 上司による組織のモチベーション維持・向上に「心理的安全性」が有効
  • 心理的安全性の構築は、上司と部下が同じ目線に立つことが大事
  • 上司から部下に相談してみたり、会議での立ち位置に工夫するのも有効

⑤ 【コーチングスキル】 部下へ目標の筋道を示すスキル

管理職にはコーチングスキルが必要
人の成長はリーダーに課せられた任務でもある

コーチングとは、個人またはチームを指導・育成するスキルです。

コーチングはティーチングと似ていますが、目的が異なります。ティーチングが知識や技能を直接指導し、正解を教えるものであるのに対し、コーチングは相手の内面にあるポテンシャルを引き出すことを目的とします。

つまり、目標というゴールに相手を連れて行くのではなく、筋道を示し、相手が自らの力で歩ませるようにする能力といえます。

部下間の上司への依存度を減らし、それぞれが目標に向けて自発的に行動するという理想的なチームづくりに欠かせないスキルです。

【コーチング】の具体的な実行方法

実は、本記事でここまでに挙げた4つのことを行えば、自然とコーチングが成り立つ環境になります。

部下それぞれの求めるものを聞き(傾聴)、課題の発見と改善のPDCAサイクルを回し(コンセプチュアルスキル)、適材適所でやりがいや成長の気づきを与え(ファシリテーションスキル)、失敗を恐れず挑戦できる環境を整える(心理的安全性)。

そのようなチームであれば、メンバーは自ら目標を立てて歩んでいくようになります。

■POINT

  • 目標への筋道を示すにはティーチングよりコーチングが効果的
  • 上司への依存を抑制でき、能動的なチームをつくることができる
  • 傾聴、コンセプチュアルスキル、ファシリテーションスキル、心理的安全性によりつくられたチームでは、コーチングが自然と行える

部下の育成には、さまざまな視点が必要ですが、以下の記事にビジネスマンとして必要な基本スキルを取り上げています。

ビジネスマンに必要な3つのスキルの高め方とは

本記事のまとめ

大日本帝国海軍の大将として現在も多くの方から尊敬される山本五十六は、管理職やリーダーについて次のような格言を残しています。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば、人は動かず。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

部下を認め、感謝し、信頼する。そのような「関係の質」を向上させることが、上司に求められる重要な役割です。本記事が伝えたのも、一言で言えば部下との関係性を向上させるものです。ぜひ本記事を参考に、難しいプロジェクトでも遂行できるよいチームをつくってください。

■POINT

  • 部下の考えを理解するには、考えを聞き取る「傾聴スキル」が重要
  • 進行中業務の課題を見つけるには「コンセプチュアルスキル」が効果的
  • 適材適所の人材配置に役立つのは「ファシリテーションスキル」
  • 上司による組織のモチベーション維持・向上に「心理的安全性」が有効
  • 目標への筋道を示すにはティーチングよりコーチングが効果的

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