ChatGPTの日本語力とは?文学漫才に挑戦

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ChatGPTの日本語力

ChatGPTを使っていろいろ実験作文にも取り組んでいます。巷ではシナリオ、論文、翻訳などいろいろ試されています。そこで、今回はChatGPTを使って日本語の理解度をチェックしました。

極端な比較が面白いだろうと考えました。そこで選んだのが、文芸作品や古典を漫才にしたら?という問題です。文学の理解についてどの程度なのか?漫才への理解はあるのか?それらを検証するためにChatGPTに文学作品の一部で漫才の台本を書いてもらったのです。面白い、面白くないは別として、妙な話ですが「ああ、そういう意味だったのか」と腑に落ちる漫才もありました。

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ChatGPTの使い方

ChatGPTの使い方は極めてシンプルです。その名称通りチャットなので質問や要望を入力すると、それに対して回答してくれます。

リライトや要約など、そのままでも大丈夫なチャットもあるけれども、最終的には手をいれないとそのまま使いづらいのが本当のところ。なので、質問の仕方を変えたり、ChatGPTが出力した文をそのまま改編するようにお願いしたりしました。

ChatGPTは、ざっくり聞けば、ざっくり答えてくれ、緻密に聞けば、それなりに緻密であったりします。少し言葉を変えるだけで意図せぬ回答を出してくれるので、それを「面白い」ととるのか「まだまだだ」ととるのかは、使う人次第でしょう。

生きることに勇気づけられる漫才風になった

ChatGPTの日本語力を方丈記漫才で表現

鴨長明による鎌倉時代の随筆「方丈記」を題材に漫才の台本をお願いしてみました。入力は以下のようにしました。黄色の編みかけ部分です。ここでは、漫才師を指定しました。

以下の文章を漫才師の〇〇〇〇が漫才をしたとしたらで、仮定して「ボケ」と「ツッコミ」の漫才の台本にしてください。

※〇〇〇〇のところは有名な漫才師のコンビ名をいれました。下の原文を入力しました。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。  たましきの都のうちに、棟を並べ、甍を争へる、高き、卑しき、人のすまひは、世々を経て尽きせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家はまれなり。あるいは去年焼けて今年作れり。あるいは大家滅びて小家となる。住む人もこれに同じ。所も変はらず、人も多かれど、いにしへ見し人は、二、三十人が中に、わづかにひとりふたりなり。朝に死に、夕べに生まるるならひ、ただ水のあわにぞ似たりける。知らず、生まれ死ぬる人、いづかたより来たりて、いづかたへか去る。また知らず、仮の宿り、たがためにか心を悩まし、何によりてか目を喜ばしむる。その、あるじとすみかと、無常を争ふさま、いはば朝顔の露に異ならず。あるいは露落ちて花残れり。残るといへども朝日に枯れぬ。あるいは花しぼみて露なほ消えず。消えずといへども夕べを待つことなし。

ChatGPTが方丈記の冒頭を題材に創作した漫才

次のボケとツッコミを作ったのがChatGPTです。

ボケ:ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらずって、水がどこから来てるのかわからないってこと?
ツッコミ:いやいや、たぶん水源から流れてきてるんだろうよ。そこじゃなくて、この世の中には人も住む場所も、いろんな変化があって、常に変わり続けているって言いたいんだよ。
ボケ:ああ、でも確かに人って生まれては死ぬ、死んでから生まれる、それが繰り返されるだけだもんな。
ツッコミ:そうそう、そして一時的に住んでいた場所も、火事で焼けたり、家族の事情で引っ越したりすることもあるんだよね。
ボケ:そうだね、それに人ってみんな同じように生きているけど、誰がどこから来て、どこへ行くのかわからないもんだよね。
ツッコミ:まあ、それが人生ってやつさ。あと、物事は常に変化するってことを覚えておこうよ。
ボケ:わかったわかった。でも、この世の中の一瞬一瞬を大切に生きて、何事にも挑戦していきたいよね。
ツッコミ:そうだな、それが大事だよ。ってことで、今日も〇〇〇〇は笑いを届けるために、漫才をしているんだ!
締め:それでは、また次回の漫才でお会いしましょう!

さらっと輪廻転生をネタにしていますね。ボケが生と死が繰り返されるって言って、ツッコミがなんの反論もせずに「そうそう」って答えてるのが、面白いです。

漫才ってことを理解しているのが最後の締めというのでわかります。なかなかやるもんですね。

シュールな文学をどうでもいいような会話にしてしまう

ChatGPTが日本語を理解するレベルとは
カフカは変身が有名ですが、面白い本はいろいろあります。

別の視点でChatGPTにお願いしたのは、フランツ・カフカの「審判」です。原文の出典は青空文庫です。こちらは2回ほどトライしました。最初に出てきたのは要約されていることもあってごく短めです。黄色はこちらの入力部分です。

この文章を漫才の掛け合い風に改編できますか?

誰かがヨーゼフ・Kを誹謗したにちがいなかった。なぜなら、何もわるいことをしなかったのに、ある朝、逮捕されたからである。彼の部屋主グルゥバッハ夫人の料理女は、毎日、朝の八時ごろに朝食を運んでくるのだったが、この日に限ってやってはこなかった。そういうことはこれまであったためしがなかった。Kはなおしばらく待ち、枕についたまま、向う側の家に住んでいる老婆がいつもとまったくちがった好奇の眼で自分を観察しているのをながめていたが、やがていぶかしくもあれば腹がすいてきもしたので、呼鈴を鳴らした。すぐにノックの音が聞え、この家についぞ見かけたことのない一人の男がはいってきた。すんなりとはしているが、頑丈な身体のつくりで、しっくりした黒服を着ていた。その服は、旅行服に似ていて、たくさんの襞やポケットや留め金やボタンがつき、バンドもついており、そのため、何の用をするのかはっきりはわからぬが、格別実用的に見受けられた。
「どなたですか?」と、Kはききただし、すぐ半分ほどベッドに身を起した。
 ところが男は、まるで自分の出現を文句なしに受入れろと言わんばかりに、彼の質問をやりすごし、逆にただこう言うのだった。
「ベルを鳴らしましたね?」
「アンナに朝食を持ってきてもらいたいのです」と、Kは言い、まず黙ったままで、いったいこの男が何者であるか、注意と熟考とによってはっきり見定めようと試みた。
 ところがこの男はあまり長くは彼の視線を受けてはいないで、扉のほうを向き、それを少しあけて、明らかに扉のすぐ背後に立っていた誰かに言った。

ChatGPTが要約しつつ漫才にした「審判」

相方:あのねー、ヨーゼフ・Kって知ってるかい?
ボケ:知らないよー、誰それ?
相方:逮捕された男だよ。
ボケ:え、何で逮捕されたの?
相方:それがさー、朝食が来なくて呼鈴を鳴らしたら、知らない男が現れたんだって。
ボケ:えっ、それだけ?それで逮捕されたの?
相方:いやいや、そこがねー、その男に何者か聞いたけど、答えずに扉の向こうの誰かに話しかけたんだって。
ボケ:なんだそれ、意味不明だよ。
相方:そうなんだよー、結局、何があったかわからないまま逮捕されちゃったんだよ。

最後がどうも端折られているのですが、カフカのイメージを残しつつシュールな漫才的かけあいになっている感じがします。続きまして、条件を変えて次のようにしてみました。

漫才の掛け合い風に改編できますか?関西芸人風でお願いします。

「おいおい、なんであんなに怪しい男が出てきたんや?」
ボケ「そら、あかんことしでかしたからやろ!」
「あかんことしてたんか?」
ボケ「いや、何もしてへんのに、ある日突然逮捕されたっていうねん。」
「えええ!それはどういうことや?」
ボケ「部屋の女中さんが、毎日朝食を持ってきてたんやけど、その日に限って来なかったんや。そしたら、しばらく待ってたけど来へんかったから呼鈴を鳴らしたら、怪しい男が入ってきたんや。」
「怪しい男って、どんなんや?」
ボケ「すんごい頑丈な身体のつくりで、黒い服を着てたんや。旅行服みたいやけど、たくさんのポケットとか留め金とかがついてて、何の用事かさっぱりわからんかったわ。」
「そら怪しいわな。その男、何か言うたんか?」
ボケ「ベルを鳴らしたのはお前か?って聞かれたんやけど、俺は部屋の女中さんに朝食を持ってきてもらいたいって言ったんや。」
「そんなこと言ったら、何かされたりせんかったんか?」
ボケ「そうやなぁ、熟考して男の正体を見定めようとしたんやけど、男はすぐに扉のほうを向いて、扉の背後にいた誰かに話しかけたんや。」
「誰かに話しかけたってことは、もしかして共謀者がいたってことか?」
ボケ「それがわからへん。だけど、その後に起こったことを聞いたら、もっと怪しい事件が起こったっていう話や。」

漫才に変換してもつかみが面白いですね。或る日突然逮捕されるというシュールなスタート。ちなみに、なぜか相方に変わっていました。しかし、これは漫才というより、関西人の日頃の会話のようにも思えて妙な可笑しみがありました。相手の質問に答えるでもなく、別の質問をしたり、思いついた回答したりすることです。

平家物語を居酒屋での会話にするChatGPT

ChatGPTの日本語力を表現
平家物語は、昔の居酒屋談義だったのかもしれない。

平家物語といえば、多くの人が冒頭を暗唱させられたのではないでしょうか。この会話を読んでいるとなんか居酒屋談義のようにも思えます。

以下の文章を「ボケ」と「ツッコミ」の漫才の台本にしてください。博多弁でお願いします。

と以下に祇園精舎の・・・冒頭文を入れたあと、何度かの調整をしてできたのが、次の漫才です。

【ボケ】 ホンマにようこそおいでまして、よかよかでっせ!祇園精舎の鐘の音、ホンマにええ音やな。この音が鳴ると、諸行無常やな。盛者必衰やな。偉ぶる人も長続きせん、春の夜の夢みたいやな。でも、ワイは今日の出演者のことはちゃんと生き残って欲しいと思うで!

【ツッコミ】 ええ音やねんけど、ボケさん、それはちょっと違うやろ。ここは漫才のステージやで。それよりも、政治家の例え話をするんやったら、最近の有名な人の名前を出すべきやないか?

【ボケ】 そうやな!最近の政治家も、昔の人と同じで偉そうなこと言って、自分の欲望にとりつかれて、色んな悪さしてるんやな。でも、六波羅の入道や平朝臣清盛公の話は、もっと昔の話やろ?

【ツッコミ】 そうやで。それに、昔の話をするんやったら、もっと古い時代の話も出して欲しいわ。秦の趙高や漢の王莽は、博多弁でどういう風に言うんや?

【ボケ】 それはちょっと難しいな。でも、昔の王様たちの政治に関わってはずかしいことしたり、楽しむことに夢中になって、反対意見を聞き入れず、国が乱れることに気付かず、庶民の苦しみがわからなかったから、結局はみんな滅んでいったんやな。

【ツッコミ】 あー、やっぱり政治家の話しといて、結局王様の話になっちゃったな。でも、昔の人たちの話を聞くと、なんか勉強になるわ。

【ボケ】 そうやな!それに、今日は清盛公のお話もあるねん。清盛公の先祖の話を聞くと、ほんまにすごい人やったんやな。

【ツッコミ】 まあ、清盛公は有名な人やで。でも、先祖の話をするんやったら、もっと詳しく説明してくれへんか?

【ボケ】 そうやな!清盛公の先祖って、もうすごい家柄やな。桓武天皇の第五皇子から始まって、色んなポストを歴任して、最終的に清盛公まで辿り着いたんや。でも、そんな偉大な家系でも、時には偉そうにして滅びることもあるんやな。

【ツッコミ】
ほんまに、不思議やわー。でも、まぁ清盛公が活躍する前に生まれた話やから、もうええわ。

これは、結構秀逸かなと思いました。最初のボケさんが、ツカミに行こうとする感じが今風です。ツッコミがあえて漫才のステージというのも切り返しというか、考えてくれてますね。「一生懸命、漫才にしています!」というChatGPTの執念なのかもしれません。

我輩はChatGPTである。漫才もできる。

我輩はChat GPTである
我輩はChat GPTである

最後は夏目漱石の「我輩は猫である」の冒頭の文です。これを漫才にするとどうなるのか。

ボケ:ほな、聞いてくれ。うちらさ、猫やねんけど、名前がまだあらへんねん。
ツッコミ:当たり前やろ、猫に名前があるわけないやん。
ボケ:でも、生まれた場所が全然覚えてへんねん。暗くてじめじめしたとこでニャーニャー泣いてたってば。
ツッコミ:そやろ、猫が生まれた場所覚えてるわけないやん。
ボケ:でも、そこで初めて人間見たねん。しかも、あいつは獰悪な種族言われとるねん。
ツッコミ:何言うてんねん。猫にとって人間なんてどーでもええやん。
ボケ:でも、あいつら、猫を捕まえて煮て食うって噂あるらしいねん。
ツッコミ:それはないわ。ただのウワサやろ。
ボケ:でも、あいつらに掌に載せられたら、人間の顔がおかしかったねん。
ツッコミ:ほんまかいな、顔の形が変なんは個人差あるかもしれへんで。うぉんちゃらかんちゃら。
ボケ:でも、あいつらの顔、毛生えてへんかってん。まるで薬缶みたいやったねん。それに真ん中に突起があって、時々煙を吹いてたねん。
ツッコミ:あかんやろ!人間の顔に突起があるわけないやん。何言うてんねん。
ボケ:でも、それ、あいつが吸ってたタバコの煙やったねん。
ツッコミ:まじかいな、あいつらそんなことしてんのか。そんなん言うたら、岸和田のたこ焼きにシュークリーム入ってるって言うたらあかんやん。

岸和田のたこ焼きにシュークリーム入ってるってどういうことなんだろうって思いましたが、Chat全体の文脈から考えてくれたのでしょうか。

まとめ

ChatGPTの日本語の理解力はあなどれない

ChatGPTの理解力はあなどれないというか、奥が深いというか、浅いというか、意外な変化球をながるようで直球勝負だったりします。それが面白いといえば面白いので、この先、いろいろなことに使ってみたいと考えています。

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