
はじめに〜ひとり親家庭を支える公的支援と職場環境の改善〜
近年、離婚率はゆるやかな減少傾向にあるものの、40年前と比較すると離婚件数は約1.5倍にのぼります。離婚が珍しくなくなった現代において、母親が親権を持つケースは約9割に達しています。多くのシングルマザーが公的支援を必要としながら、1人で家計を支え、家事や育児に奮闘しているのが現状です。
子育てと生計の維持を1人で背負い込むと、心身ともに大きな負担がかかります。国や自治体には、ひとり親家庭の生活や就労をサポートするさまざまな助成制度が用意されています。上手に活用して金銭的・精神的な不安の種を少しでも減らしましょう。
また、職場環境の改善には多角的な視点が欠かせません。企業や経営者の方も、社内で利用できる公的支援制度の周知に努め、働くシングルマザー(ひとり親家庭)を積極的に応援する環境づくりが求められています。
生活の土台をつくる!国や自治体から受けられる主な公的支援
子どもが成長するにつれて教育費や食費などの支出は確実に増加します。金銭的な不安は日々の暮らしや心のゆとりにも直接影響を与えるため、利用できる手当や助成制度を正しく把握しておくことが大切です。
ひとり親家庭を対象とした制度には、所得制限や各種要件が設けられているものもありますが、手厚い優遇措置が用意されています。まずはどのような公的支援があるのか、全体像を確認しておきましょう。
高校生年代まで対象が拡大された「児童手当」
児童手当は、ひとり親家庭に限らず子どもを養育している世帯へ支給される手当です。制度改正により、現在では高校生年代(18歳到達後の最初の3月31日まで)まで支給期間が延長され、所得制限も撤廃されました。
受給するためには、お住まいの市区町村窓口へ認定請求書の提出が必要です。受給資格のある方は忘れずに手続きを行いましょう。
児童手当は、高校生年代までのお子さんを育てるすべての世帯が対象です。所得制限なく支給されるため、確実に申請手続きを行ってください。
ひとり親家庭の生活を安定させる「児童扶養手当」
児童扶養手当は、離婚や死別などによってひとり親となった家庭の生活の安定と自立を助けるための給付金です。以前は母子家庭のみが対象でしたが、平成22年(2010年)より父子家庭も対象となりました。
対象となるのは、18歳に達する日以降の最初の3月31日までの児童(一定の障害がある場合は20歳未満)を監護する母または養育する父などです。所得金額に応じて「全部支給」「一部支給」「全部支給停止」に区分されます。
児童扶養手当の受給資格を継続するためには、毎年8月にお住まいの市区町村へ「現況届」を提出する必要があります。提出を怠ると手当が差し止められる場合があるため注意しましょう。
教育費や急な出費に対応する「母子父子寡婦福祉資金貸付金」
ひとり親家庭の経済的自立を助成し、子どもの健やかな成長を支えるための融資制度が「福祉資金貸付金」です。修学資金や就学支度資金、生活資金、技能習得資金など、家庭の必要性に応じた多様な資金枠が設けられています。
なかでも子どもの高校・大学進学に関わる就学支度資金や修学資金は、原則として無利子で借り入れることができます。返済負担を抑えながら進学の夢を後押しできる心強い公的融資制度です。
子育てと仕事を両立!ひとり親家庭のための就労・自立支援
婚姻中は専業主婦であった場合でも、離婚に伴い本格的な就職活動を始めなければならないケースは少なくありません。しかし「子どもが小さい」「職歴にブランクがある」といった事情から、就労への不安を抱える方は多くいらっしゃいます。
国や各自治体では、ひとり親家庭のスムーズな就職・転職を支援する専門窓口や支援プログラムを整備しています。ひとりで悩みを抱え込まず、専門の相談機関を積極的に活用してください。
子連れで通える「マザーズハローワーク」の就労相談
ハローワークのサービスのなかでも、子育てをしながら仕事を探す方に特化した専門窓口が「マザーズハローワーク」および「マザーズコーナー」です。一般的な職業紹介に加え、担当者制によるきめ細やかな個別支援や就職相談を受けられます。
施設内にはキッズコーナーやベビーカー対応スペースが用意されている拠点が多く、小さなお子さんを連れて安心して来所できる点が大きな特長です。児童扶養手当の受給者を対象とした就労支援メニューも用意されています。
就職から養育費相談まで対応する「母子家庭等就業・自立支援センター事業」
離婚後の生活では、「子どもに不自由な思いをさせたくない」と母親がひとりで無理を重ねてしまう場面が多々見られます。さらに、取り決めたはずの養育費が途絶えてしまうといった問題も後を絶ちません。
各自治体が実施する「母子家庭等就業・自立支援センター事業」では、就職相談や講習会によるスキルアップだけでなく、養育費の確保や面会交流に関する専門相談など、幅広い悩みに一括して対応しています。
母子家庭等就業・自立支援センターでは、仕事探しの支援だけでなく、養育費の取り決めや公正証書作成に関する法的な相談窓口も設置されています。
就業支援から生活面の権利確保までトータルでサポートを受けられますので、不安があるときは早期に相談窓口へ問い合わせてみましょう。
詳細については、お住まいの自治体にお問い合わせください。
各自治体の事業実施場所一覧のダウンロード
在宅での就業を後押しする「ひとり親家庭の在宅就業推進事業」
乳幼児を抱えているなどの家庭事情から、外へ働きに出ることが難しいシングルマザーも多く存在します。そうした状況にあるひとり親家庭を支援するために整備されているのが「在宅就業推進事業」です。
在宅ワークを希望する方に対して、在宅就業コーディネーターが業務発注の仲介やスキルアップ支援を行い、自立に向けたノウハウ習得を段階的にサポートします。基本的なPCスキルや実務研修を受講し、雇用型テレワークや個人受託への移行を目指すことが可能です。
シングルマザーの公的支援に関するよくある質問(FAQ)
ひとり親家庭が公的支援制度を利用する際によくある疑問をまとめました。手続きをスムーズに進めるための参考にしてください。
まとめ〜公的支援を賢く活用して生活のゆとりを取り戻そう〜
ひとりで子育てと家計を担うシングルマザーの負担は非常に大きなものです。しかし、国や自治体には生活資金の助成から教育資金の無利子融資、就職支援、養育費相談に至るまで、多種多様なセーフティネットが整備されています。
手当や助成金は自動的に支給されるものではなく、窓口への申請が必要です。制度を正しく理解し、自治体の相談窓口やマザーズハローワークを積極的に頼ることで、経済面・精神面の安定を図りましょう。
利用できる制度を漏れなく活用し、ひとりで抱え込まずに周囲の支援を味方につけながら、前向きな生活基盤を築いていきましょう。

